コレステロール 悪玉 善玉

コレステロールを正しく知ってみる

LDHコレステロールの数値

 

「コレステロールの数値が高い」

 

おそらく、成人の方でしたら多くの方が健康診断の結果表や、病院での検査でそのように指摘された経験があるのではないでしょうか。去年より今年の数値はどうだろうか、と気になって仕方がない、怖いという方もいると思います。

 

かつては成人病と言われた疾患も今は生活習慣病と名を変え、まさに毎日をどう生きているかが身体の調子に現れるというシビアな現実が待ち構えています。

 

病気のサインであるさまざまな成分や指標の中でも、コレステロールはその代表格ではないでしょうか。

 

ただ、コレステロールという名前は知らない人がいないほど一般化していても、その種類や身体への影響などを正しく理解している方は案外少ないようにも思えます。

 

このページでは、そんなコレステロールについて基本的な情報をまとめてみました。

 

マーキング用白背景

そもそもコレステロールって何なの?

コレステロール (cholesterol) とは、大きな分類でいえば脂質のひとつであり、「ステロイド」の一種です(そう言われれば「ステロール」と「ステロイド」って語感が似てますよね)。

 

コレステロールの細かな組成や性質はウィキペディアなどに細かく書いてありますのでここでは割愛しますが、細胞を構成する成分のひとつにステロールというものがあり、コレステロールはそのステロールの中で最もメジャーな存在です。

 

そして、何かにつけて健康を害する「悪役」のイメージがあるのではないでしょうか。コレステロール(悪玉)の数値が高いととにかくダメ、みたいな感じです。

 

実際、コレステロールが原因の疾患として代表的なものに「動脈硬化」があります。

 

血管の内側にコレステロールなどがたまって柔らかさやしなやかさが奪われ、血の通り道が狭くなり、ある日突然破れたり、臓器に血液が行かなくなって壊死したりして命に関わる怖い症状ですね。

 

 

現在、日本人の死亡率でトップなのは悪性新生物(がん)で、ついで心疾患、肺炎、脳血管疾患と続きますが、動脈硬化が原因と言われている心疾患と脳血管疾患を合わせれば、約4人に1人が亡くなる計算になり、ガンで死亡する数に匹敵します。

 

日本人の主な死因別死亡率の割合[平成23年]

悪性新生物(癌) 28.5%
心疾患 15.6%
肺炎 10%
脳血管疾患 9.9%
不慮の事故 4.7%
老衰 4.2%
自殺 2.3%
その他 24.8%

※厚生労働省平成23年人口動態統計月報年計(確定数)の概況より

 

癌など他の疾患に比べて動脈硬化が恐いのは、ある日突然動脈が破裂すれば、きわめて短時間で命の危険にさらされることです。

 

末期症状の癌で命の期限を知らされることもとても辛い現実ですが、動脈硬化による疾患はその猶予すら与えられない恐ろしいものです。

 

動脈硬化は「サイレントキラー」と呼ばれるのも、こうした致命的な状況になるまで、自覚症状がほとんどないからです。最悪の場合、治療するまもなく命を落とす恐い病気なのです。

 

また、コレステロールの値に異常がある状態そのものは病気というより「未病」の段階といえます。未病とは中国医学の伝統的な考え方で、病気まではいかないけれど健康ではない、ということです。

 

ですので、予防という意味で考えれば、コレステロールの異常は自分の努力しだいで十分に改善できるもの、ということも知っておいたほうがいいですね。

 

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「コレステロールは2種類ある」はウソ?

 

背中合わせのふたり

 

こうした恐い症状の原因といわれるコレステロール。そしてテレビの健康特集やヘルスケア分野の雑誌でよく言われるのが、コレステロールには善玉と悪玉の2種類があり〜というくだりです。

 

こう言うと、腸内細菌の善玉菌、悪玉菌のように種類の異なる二種類の物質があるように思えますが、実はコレステロールそのものは1種類しかありません。

 

ではなぜ、善玉・悪玉という分け方をしているのでしょうか?

 

これは、コレステロールを包んでいるたんぱく質(リポタンパク)があるのですが、これを含めた比重の重さによってカイロミクロン(Chylomicron)、VLDL(Very Low Density Lipoprotein)、LDL(Low Density Lipoprotein)、HDL(High Density Lipoprotein) の主に4つに分類されています。

 

リポタンパクとコレステロールの関係は、シャボン玉とかイクラ、タピオカやカプセルの薬のイメージ(外側はあんな硬いものではないですが)のようなものですね。

 

脂質であるコレステロールは水に溶けないので、そのままでは血液内に存在できません。ですのでリポタンパクに包まれた状態で血液(血管)内に溶け込み、全身を巡っているのです。

 

そして前述の4種類の中で、LDLは肝臓で合成されたコレステロールを全身の細胞に届けるのに対して、HDLはさまざまな組織のコレステロールを回収して肝臓に送り返しています。

 

つまり、余分なコレステロールを回収するHDLが少なくなり、逆にコレステロールを届けるLDLが増えると、体内のコレステロールのバランスが崩れ、動脈硬化などの疾患につながっていきます。

 

善悪のバランスという意味では、現在大ブームの「腸内環境」と考え方が似ているのかもしれません。血管内のコレステロールのバランス、つまり血管環境をいかに正常に保つかが健康に大きく影響してくるのだと思います。

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悪玉(LDL)コレステロールの働き

悪玉(LDL)コレステロール とは、上述の通り、リポ蛋白に包まれたコレステロールのうち、肝臓で合成されたコレステロールを全身に届ける働きがあります。

 

このLDLコレステロールが過剰になると、余ったコレステロールが血管内にたまり、動脈硬化をはじめとしたさまざまな疾患(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞)の原因になります。

 

コレステロールを拾い集めて肝臓に戻すHDLコレステロールが少なくなり、LDLの方が多くなってバランスが崩れるほど、血管内のコレステロールが過剰になって疾患の原因になります。

 

まるで悪の権化のように語られるコレステロールですが、人間が生命を維持するのに必要不可欠な成分でもあるので、不調の原因はあくまで善玉と悪玉のバランスが崩れる部分にあります。

 

つまりこのような状態です。

 

届ける量(LDL)>回収する量(HDL) → コレステロール過多 → 動脈硬化など

 

血管内の環境を良くするには、いかに悪玉を減らして善玉を増やすかにかかっているといえます。

 

健康診断の基準値は?

項目 LDLコレステロール
基準値 60〜119mg/dL

 

約10mg/dLふえると心筋梗塞の発生率が10〜15%増加するといわれるLDL(悪玉)コレステロール。

 

健康診断では血液検査によってその数値がわかります。基準値は60〜119mg/dLが正常範囲で、120〜139が動脈硬化のリスクがある境界域、140以上になると高LDLコレステロール血症や先天性の異常などが疑われ、さらに詳しい検査を必要とします。

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善玉(HDL)コレステロールの働き

裏の顔を感じさせる怪しい男

 

一見いい顔をする人に実はとんでもない裏があった、という話はよくあるものです。

 

善玉という言葉にはよいイメージしか浮かびませんが、果たしていいことばかりなのでしょうか。こちらでは善玉(LDL)コレステロールについて掘り下げてみようと思います。

 

血管の壁にこびりついた余分なコレステロールをせっせと回収してくれるHDLコレステロールは、古いコレステロールが血管に溜まって血流が悪くなり、動脈硬化へと進行していくのを防いでくれます。

 

血管をキレイにしてくれるのだからたくさんあればあるほどいいのでは、と思えそうですが、善玉コレステロールが多すぎるのもそれで問題です。

 

たとえばコレステロールエステル転送蛋白欠損症、甲状腺機能の以上など特定の疾患でHDLコレステロールが増えすぎることもあります。コレステロールは細胞や筋肉を作るのに不可欠な物質なので、いわゆる悪玉と呼ばれるコレステロールも必要です。

 

大事なのは善悪(といっていいのかわかりませんが)のバランスなのは、腸内環境とまったく同じです。(ですのでこのサイトではあえて「血管環境」という言葉を使っています)。

 

健康診断の基準値は?

項目 HDLコレステロール
基準値 40〜119mg/dL

 

LDLの基準値は40〜119mg/dLが正常範囲です。40mg/dLを切ると低HDLコレステロール血症の疑いが持たれ、これも脂質異常症のひとつと診断されます。

 

また、現在の健康診断ではHDL、LDL単体の数値に加えて、HDLとLDLの比率、つまり善玉・悪玉のバランスを数値化した「LH比」も重視されています。

 

たとえばLDLコレステロール値132mg/dl、HDLコレステロール値40mg/dlの場合、「132÷40=3.4」でLH比は3.4となります。

 

なぜLH比が需要かというと、たとえ悪玉(LDL)が正常な数値でも、善玉(HDL)の数が少ないと心筋梗塞になる確率がふえることがわかっており、文字通りバランスが重要になるからです。

 

LH比の基準値

LH比 血管内の状態
1.5以下 きれいで健康
2.0以上 コレステロールの蓄積が多く動脈硬化の疑い
2.5以上 血栓発生の可能性大、心筋梗塞のリスクも

 

なぜ上記の「LDLコレステロール値132mg/dl、HDLコレステロール値40mg/dlの場合、「132÷40=3.4」でLH比は3.4」の例を出したかといえば、これらの値は単体で見れば正常なのに、LH比では明らかに異常な状態だからです。

 

実際に、それぞれの数値は正常なのに心筋梗塞を起こした、という例が医療の現場でたくさん報告されています。それらの患者さんを見てみると、善玉のHDLコレステロール量が低いか、正常でも下限ギリギリという傾向があります。

 

HDLとLDLの理想的な割合は、健康な人で2.0以下、糖尿病や高血圧など、動脈硬化のリスクがある方は1.5以下を目標とされています。

 

健康的な食生活や適度な有酸素運動など、コレステロールを正常にする生活習慣を見直し、改めて行くことが大切ですね。

 

 

余談ですがかつて高脂血症と言われた状態は、現在は脂質異常症と名前が変わったのも、HDLコレステロールが「低い」状態でも脂質異常にあてはまることが理由です。

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超悪玉コレステロールがある?

デビル(悪魔)のイメージ>

 

じつは、コレステロールはリポタンパクとして存在する状態のちがいで善玉、悪玉と分けられるのは先述のとおりですが、悪玉の中でも極めてタチの悪いものがあり、これを超悪玉コレステロール(スモールデンスLDL)と呼ばれています。

 

かつてテレビ番組「たけしの本当は怖い家庭の医学」でも紹介された超悪玉コレステロール、名前に反してその大きさは通常の悪玉コレステロールよりコンパクト。別名小型LDLとも言われるほどです。

 

ではなぜ、小型なのに性質が悪いのでしょうか?

 

理由は、コレステロールの粒子が小さいほど血管の壁に入り込みやすいことがあります。さらに、肝臓に吸収されにくい特長があるので、血管中に長くとどまって酸化されやすく、動脈硬化を強力に引き起こすことがわかっています。

 

実際に心筋梗塞等に罹った方の中でも、超悪玉コレステロールの割合が高かったという統計があります。データでは通常の人より罹患率が3倍になるという怖い結果も。

 

なぜ小型化するかについては、血中の中性脂肪が多いこと、血糖値が高いことが原因として挙げられています。

 

超悪玉コレステロールは一般的に、下記の状態に当てはまる人ほど多く持っていると言われます。

 

■心筋梗塞や狭心症にかかったことがある
■家族に心筋梗塞や狭心症にかかった方がいる
■高血圧
■中性脂肪が多い
■血糖値が高い
■内臓脂肪が多い
■善玉コレステロール(HDL)が少ない

 

LDL超悪玉化しているかは「小粒子LDLプロファイル」という専用の検査方法がありますが保険が適用されないので料金が高くなります。

 

代わりに保険適応の「リボ蛋白分画精密測定」という検査(1,200円の3割負担)で調べることもできます。

 

超悪玉より恐い恐玉コレステロールがある!?

最近の研究で、超悪玉をさらに超えて凶悪な「恐玉(こわだま)コレステロール」があることがわかりました。

 

この恐玉コレステロールは、リポタンパクになっているコレステロールが分解された「残りカス」のようなもので、正式名称は「レムナント様リポたんぱくコレステロール(RLPコレステロール)」といいます。

 

この残りカスはLDLコレステロールより血管壁に溜まりやすく、より動脈硬化を起こしやすいことがわかっています。

 

また、恐玉コレステロールがふえることで突然死の可能性が上がると言われる、まさに恐ろしい物質なのです。